平成31年4月1日から新しい在留資格「特定技能」の運用がはじまりました。

この新しい在留資格の「特定技能」と従来からある「技能実習」は名前が似ているせいか、よく「何がどう違うの?」という質問がありますので、回数を分けて整理していきたいと思います。

今回のテーマは表題にございます通り「技能実習」と「特定技能」の趣旨の違いについてです。

各法律の趣旨は法解釈をするうえで大変重要なものですので、法解釈で悩んだときは、この各法律の趣旨に立ち返って頂ければと思います。

では早速、「技能実習」と「特定技能」の趣旨の違いをみていきましょう。

「技能実習」の趣旨日本で開発され培われた技能、技術または知識の開発途上国への移転を図り、その開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とする
「特定技能」の趣旨中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきているため、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することを目的とする

色々と難しいことが書いてありますが、「技能実習」で働く外国人は「労働者」ですが、「労働力」という扱いではなく、あくまで「労働」を通して「技術を身につけてもらう」研修生という位置づけになります。

「研修生」という立場ですから、最初の賃金は安いかもしれませんが、技術を身につけていくにつれて、賃金を上げていかなければなりません。

一方、「特定技能」で働く外国人は「労働者」で「労働力」ですが、一定の専門性・技能を有した即戦力ですから、「安い賃金で働く労働力」・「労働の調整弁」という扱いはできません。

どちらの在留資格で外国人を雇ったとしても、外国人を「安い労働力」として扱うことはできません。

この「外国人は安い労働力」という意識を持ったまま「技能実習」や「特定技能」の在留資格で外国人を雇うと事業に失敗しますので、気をつけてください。