建設業では、現場ごとに就労場所が変わり管理の目が届きにくいという特性があります。
また、時給制や日給制が多い建設業界では、季節や仕事の繁閑により報酬が変動するという特性もあります。
これら2つの主な特性のためか、建設業では他産業に比べて失踪者が多い状況です。
そこで、以下4つの事項で建設業における外国人技能実習制度の受入れ基準が強化されました。
1.建設業法3条許可の取得
① 建築工事で、1件の請負代金が1500万円未満(消費税を含む報酬額)の工事、または、延べ面積が150㎡未満の木造工事
②建築工事以外の建設工事で、1件の請負代金が500万円未満の工事
以上2つの場面、いわゆる「軽微な工事」を行う場合は、建設業の許可は不要です。
ただし、外国人技能実習生を受入れる場合は、「建設業の許可」が必要となりますので、ご注意ください。
2.月給制の採用
法務省が失踪者に対して行ったアンケート調査によると、7割近くが低賃金を不満とした失踪であるという結果になっているそうです。
季節や工事の受注状況によって繁閑の差が大きい中で、時給制や日給制を採用すると、報酬額が不安定となり、報酬額の不安定は、技能実習生の心の不安定につながり、ひいては技能実習生の失踪につながります。
そこで、国交省は、月給制を採用することで、報酬額を安定させ、技能実習生の心の不安を取り除くことで、技能実習生の失踪を防ごうとしています。
留意事項
※① 「月給制」とは、「1カ月単位で算定される額」(基本給、毎月固定的に支払われる手当及び残業代の合計)で報酬が支給されるものを指します。
※② 技能実習生の自己都合による欠勤(年次有給休暇を除く)分の報酬額を基本給から控除することは差し支えありませんが、会社都合や天候を理由とした 現場作業の中止等による休業について欠勤の扱いとすることは認められませ ん。
天候を理由とした休業も含め、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づき、平均賃金の 60%以上を支払う必要がありま す。
また、休業する日について本人から年次有給休暇を取得する旨の申出があった場合、年次有給休暇としても問題ありません。
※③ 1カ月あたりの所定労働日数が変動したり、変形労働時間制を採用することにより1カ月の所定労働時間数が変動したりする場合も、「1カ月単位で算定 される額」で報酬を支給しなければなりません。
新基準の施行について
建設関係職種等に属する作業に係る技能実習生の待遇の基準は、令和2年1月1 日より施行されますが、本基準が適用されるのは、以下の計画からです。
①令和2年1月1日以降に、新規の認定申請をする第1号技能実習計画
②令和3年1月1日以降に、新規の認定申請をする第2号技能実習計画
③令和5年1月1日以降に、新規の認定申請をする第3号技能実習計画
それより前に新規の認定申請をする技能実習計画や、旧基準で認定を受けている技能実習計画の変更申請については、本基準は適用されません。
3.建設キャリアアップシステムへの登録(事業者・技能者登録)
建設キャリアアップシステムへの登録の目的は、技能実習生に対する、客観的基準に基づく技能と経験に応じた賃金支払の実現や、工事現場ごとの当該外国人の在留資格・安全資格・社会保険加入状況の確認、不法就労の防止等の効果を得ることです。
自社の人材が引き抜きにあうかもしれないという漠然とした不安から、日本人しか採用していない会社でも建設キャリアアップシステムの導入をしたくない企業も多いです。
しかし、日本人も外国人も同じ基準で技能・経験を評価し適切な処遇を担保できるキャリアアップシステムの導入は、きっと建設業界の人材活性化につながり、公平な評価システムが導入された建設業界には、他産業からの人材の流入も期待できます。
また、公平な評価システムで導き出された人件費の高騰化は、お客様に原価の上乗せをするときの武器にも使えます。
新しい評価システムを恐れずに、積極的に導入しましょう。
技能実習生を受入れるためにキャリアアップシステムの導入を決めた企業は、キャリアアップシステムの事業者登録を済ませます。
そして、技能実習生の入国後、第2号技能実習移行時までに、必ず建設キャリアアップシステムへの技能者登録を完了させる必要があります。
なお、第1号技能実習に係る技能実習計画の申請時には、第2号技能実習移行時までに技能実習生を建設キャリアアップシステムへ登録する旨誓約することになります。
新基準の施行について
建設関係職種等に属する作業に係る技能実習を行わせる体制の基準は、令和2年 1月1日より施行されますが、本基準が適用されるのは、以下の計画からです。
①令和2年1月1日以降に、新規の認定申請をする第1号技能実習計画
②令和3年1月1日以降に、新規の認定申請をする第2号技能実習計画
③令和5年1月1日以降に、新規の認定申請をする第3号技能実習計画
それより前に新規の認定申請をする技能実習計画や、旧基準で認定を受けている技能実習計画の変更申請については、本基準は適用されません。
4.技能実習生の受入れ人数枠の設定
技能実習生の人数枠について
① 基本人数枠
実習実施者の常勤の職員の総数 | 技能実習生の人数 |
301人以上 | 常勤職員数の20分の1 |
201~300人 | 15人 |
101~200人 | 10人 |
51~100人 | 6人 |
41~50人 | 5人 |
31~40人 | 4人 |
30人以下 | 3人 |
②人数枠(団体監理型)
通常の者
第1号 | 第2号 |
基本人数枠 | 基本人数枠の2倍 |
(例)常勤雇用者30人以下の場合
現状 →常勤雇用者が3人しかいない場合でも9人まで受入れが可能です。
(1号:3人まで 2号:6人まで )
2022年4月から→常勤雇用者3人しかいない場合は受入れも3人が限界です。
優良基準適合者
規制強化による受入れ人数枠はありません。
(例)常勤雇用者30人以下の場合
常勤雇用者が3人しかいない場合でも36人まで受入れが可能です。
(1号:6人まで 2号:12人まで 3号:18人まで )
まとめ
今日のブログは以上です。
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コメント | 監理責任者等講習を受講済みです。 |
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