第2 監理団体の業務の実施に関するもの
監理団体は、許可を受ける際に「監理団体の業務の実施に関する基準」に従って適正に行うに足りる能力を有することが必要であり、許可を受けた後は、当該基準に従って、業務を実施しなければなりません。
(技能実習法第25条第1項第2号、技能実習法第39条第3項、技能実習法施行規則第52条第1号~第16号)
その基準内容は、以下、14つです。
- 監査に関するもの
- 臨時監査に関するもの
- 訪問指導に関するもの
- 制度趣旨に反した方法での勧誘等に関するもの
- 外国の送出機関との契約内容に関するもの
- 外国の送出機関からの取次ぎに関するもの
- 入国後講習の実施に関するもの
- 技能実習計画の作成指導に関するもの
- 帰国旅費の負担に関するもの
- 人権侵害行為、偽変造文書等の行使等に関するもの
- 二重契約の禁止、法令違反時の報告に関するもの
- 相談体制の整備等に関するもの
- 監理団体の業務の運営に係る規程の掲示に関するもの
- 特定の職種・作業に関するもの
以下、順番に解説していきます。
Ⅰ 監査に関するもの
団体監理型実習実施者が①認定計画に従って団体監理型技能実習を行わせているか、②出入国又は労働に関する法令に違反していないかどうか、③その他の団体監理型技能実習の適正な実施および団体監理型技能実習生の保護に関する事項について、監理責任者の指揮の下に、次の(イ)~(ホ)の方法により、団体監理型実習実施者に対し3ヶ月に1回以上の頻度で監査を適切に行うことが必要です。
(イ) 団体監理型技能実習の実施状況について実地による確認を行うこと。
(ロ) 技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること。
(ハ) 団体監理型実習実施者が団体監理型技能実習を行わせている団体監理型技能実習生の4分の1以上と面談すること。
※当該団体監理型技能実習生が2人以上4人以下の場合にあっては2人以上と面談すること。
(ニ) 団体監理型実習実施者の事業所においてその設備を確認し、および帳簿書類その他の物件を閲覧すること。
(ホ) 団体監理型実習実施者が団体監理型技能実習を行わせている団体監理型技能実習生の宿泊施設その他の生活環境を確認すること。
※法務大臣および厚生労働大臣が告示で定める特定の職種および作業に係るものである場合
当該特定の職種および作業に係る事業所管大臣が、法務大臣および厚生労働大臣と協議の上、当該職種および作業に特有の事情に鑑みて告示で定める方法により、団体監理型実習実施者に対し3ヶ月に1回以上の頻度で監査を適切に行うことが必要です。
※その他団体監理型技能実習生が従事する業務の性質上、上記(イ)~(ホ)の方法のうち、その方法によることが著しく困難なものがある場合
当該方法については、これに代えて他の適切な方法により、団体監理型実習実施者に対し3ヶ月に1回以上の頻度で監査を適切に行うことが必要です。
例えば、部外者の立入りが極めて困難な場所で実習が行われているため、「団体監理型技能実習の実施状況について実地による確認を行うこと」の方法によることができない場合など技能実習生が従事する業務の性質上、上記(イ)~(ホ)のうちの一つ又は複数の方法について著しく困難な事情がある場合には、当該方法に代えて他の適切な方法をとることが可能です。
この場合、その理由と他の適切な監査方法を監査報告書(省令様式第22号)の特記事項欄に記載することになります。
留意事項
監理団体が監査において確認する内容について
実習実施者に対する定期監査においては、技能実習の運用上問題が生じやすい部分を重点的に確認することが必要です。
運用上問題が生じやすい部分の例
- 割増賃金の不払
- 労働時間の偽装
- 技能実習計画とは異なる作業への従事
- 実習実施者以外の事業者での作業従事
- 不法就労者の雇用
- 入国後講習期間中の業務への従事
以上が、過去の不正行為事例として多く認められています。
上記のことを踏まえて、「認定計画と異なる作業に従事していないか」「雇用契約に基づき適切に報酬が支払われ ているか」「旅券・在留カードの保管を行っていないか」など事実関係について確認し、技能実習計画に従って技能実習を行わせていない事実、出入国・労働関係法令に違反する事実があれば、適切に指導を行わなければなりません。
技能実習生が従事する業務の性質上(イ)~(ホ)の方法によることが著しく困難な場合について
(イ)~(ホ)の方法によることが著しく困難な場合の例
- 安全上の観点から立入りができず、技能実習生の稼働状況を遠目に見ることも困難な建設現場での実習の場合
- 衛生上の観点から従業員以外の立入りが禁止されている食品工場での実習の場合
上記例示の場合でも、(イ)~(ホ)の方法以外の他の適切な監査方法で済ますことができるのは、やむを得ない場合に限られます。
他の適切な監査方法の例
実地での確認を省略する代わりに、技能実習生に対し実 習現場近くで面談して話を聴く等
技能実習生との面談について
技能実習生との面談については、技能実習生ごとに個別に面談する方法のみならず、複数の技能実習生に対して集団で面談する方法なども考えられます。
また、面談の全ての過程を必ず口頭で行わなければならないわけではなく、例えば、その場で簡単な質問票を配 付して回答を得た上で、回答を踏まえ項目を絞って面談を行うような方法も考えられま す。
1回の監査につき技能実習生の4分の1以上と面談しなければならないこととされており、年4回の監査によってできる限り全ての技能実習生と面談することが望まれます。
受け入れている技能実習生が1人など少数の場合には、技能実習生が監査当日病気等の事情で欠勤したことにより、監査の訪問時に所定の数の技能実習生との面談が難しい場合がありますが、そのような場合に、必ず欠勤した技能実習生と面談することを求める訳ではありません。
このような場合には、次回の監査などの際に当該技能実習生と必ず面談できるよう調整するといった対応をすることも可能です。
技能実習生との面談においては、技能実習生の日本語の理解能力に応じて、通訳人を使 用したり、「最近どこでどんな仕事をしていますか」「先月の給料はいくら受け取りましたか」といった平易な日本語を用いて質問をしたりすることなどが考えられます。
事業所の設備・帳簿書類の確認について
事業所の設備・帳簿書類の確認の際の留意事項
- 技能実習計画に記載された機械、器具等の設備を用いて、安全衛生面に配慮して、技能実習計画に記載されたとおりに技能実習が行われているかどうか
- 賃金台帳、タイムカードなどから確認できる技能実習生に対して支払われた報酬や労働時間が技能実習計画に記載された内容と合致しているかどうか
- 技能実習生に対する業務内容・指導内容を記録した日誌から、技能実習生が技能実習計画に記載された業務を行っているかどうか
宿泊施設等の生活環境の確認について
宿泊施設等の生活環境の確認に当たっての留意点
- 宿泊施設の衛生状況が良好であるか
- 宿泊施設の1部屋当たりの実習生数が何名となっているか
- 不当に私生活の自由が制限されていないか
宿泊施設が離れた場所で複数に分かれており、毎回全てを確認することが困難な場合には、複数回の定期監査に分けて各宿泊施設を訪れるということでも大丈夫です。
その場合においても、複数回の定期監査によりできる限り全ての宿泊施設を訪れることが望まれます。
特定の職種・作業に関するものについて
技能実習法は、主務大臣が制度全体の適正化を図ることに加え、個別の職種分野について、当該職種に係る知見を有する事業所管省庁が一定の関与を行い、適正化を図ることが できる制度となっています。
それゆえ、事業所管大臣が当該特定の職種及び作業に特有の事情を踏まえた告示を制定することが可能となっています。
特定の職種・作業に関するものとして告示で指定された場合には、上記イからホまでに掲げる方法に代えて事業所管大臣告示で定める方法による監査を行うことが可能となります。
確認対象の書類
- 監理団体許可申請書(省令様式第11号)
- 監理事業計画書(省令様式第12号)
- 申請者の誓約書(参考様式第2-2号)
まとめ
今日は監理団体として監査する項目を解説していきました。
監理団体の許可申請をする際には上記監査項目を実施する能力があることを示すだけで良いのですが、監理団体として許可を受けた後は、しっかりと各項目を監査していくことが大事になります。
今日のブログは以上です。
長い文章にお付き合い頂きまして、ありがとうございました。
今日のブログは以上です。
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コメント | 監理責任者等講習を受講済みです。 |
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