監理団体の許可基準は技能実習法第25条およびその関係規則に定められています。
そこで定められている基準は大きく8つに分かれます。
- 法人形態に関するもの
- 監理団体の業務の実施に関するもの
- 財産的基礎に関するもの
- 個人情報の保護に関するもの
- 外部役員および外部監査に関するもの
- 外国の送出機関に関するもの
- 優良な監理団体に関するもの
- 監理事業を適正に遂行することができる能力を有することに関するもの
1つ1つ、ボリュームがありますので、毎日1つ1つ、丁寧に解説していきたいと思います。
早速ですが、1つめの解説をしていきましょう。
第1 法人形態に関するもの
監理団体になれる法人の形態は技能実習法第25条第1項1号で「本邦の営利を目的としない法人」で主務省令で定めるものとあります。
以下、主務省令(技能実習法施行規則第29条)を順番にみていきます。
① 商工会議所
その実習監理を受ける団体監理型実習実施者が当該商工会議所の会員である場合に限ります。
② 商工会
その実習監理を受ける団体監理型実習実施者が当該商工会の会員である場合に限ります。
③ 中小企業団体
中小企業団体の組織に関する法律第3条第1項に規定する中小企業団体をいいます。
それは、以下の8つです。
- 事業協同組合
- 事業協同小組合
- 信用協同組合
- 協同組合連合会
- 企業組合
- 協業組合
- 商工組合
- 商工組合連合会
その実習監理を受ける団体監理型実習実施者が当該中小企業団体の組合員又は会員である場合に限ります。
④ 職業訓練法人
職業訓練法人とは、職業能力開発促進法による認定職業訓練その他職業訓練に関し必要な業務を行うことにより、職業人として有為な労働者の養成と労働者の経済的社会的地位の向上をはかることを目的とする法人をいいます。
⑤ 農業協同組合
その実習監理を受ける団体監理型実習実施者が当該農業協同組合の組合員であって農業を営む場合に限ります。
⑥ 漁業協同組合
その実習監理を受ける団体監理型実習実施者が当該漁業協同組合の組合員であって漁業を営む場合に限ります。
⑦ 公益社団法人
行政庁の認定を受けた公益目的事業を行う一般社団法人をいいます。
⑧ 公益財団法人
行政庁の認定を受けた公益目的事業を行う一般財団法人をいいます。
※公益目的事業とは、学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。
公益目的事業(別表各号)
- 学術及び科学技術の振興を目的とする事業
- 文化及び芸術の振興を目的とする事業
- 障害者若しくは生活困窮者又は事故、災害若しくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業
- 高齢者の福祉の増進を目的とする事業
- 勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業
- 公衆衛生の向上を目的とする事業
- 児童又は青少年の健全な育成を目的とする事業
- 勤労者の福祉の向上を目的とする事業
- 教育、スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵かん 養することを目的とする事業
- 犯罪の防止又は治安の維持を目的とする事業
- 事故又は災害の防止を目的とする事業
- 人種、性別その他の事由による不当な差別又は偏見の防止及び根絶を目的とする事業
- 思想及び良心の自由、信教の自由又は表現の自由の尊重又は擁護を目的とする事業
- 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業
- 国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業
- 地球環境の保全又は自然環境の保護及び整備を目的とする事業
- 国土の利用、整備又は保全を目的とする事業
- 国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業
- 地域社会の健全な発展を目的とする事業
- 公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活性化による国民生活の安定向上を目的とする事業
- 国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業
- 一般消費者の利益の擁護又は増進を目的とする事業
- 前各号に掲げるもののほか、公益に関する事業として政令で定めるもの
⑨ 上記①~⑧に掲げる法人以外の法人であって、監理事業を行うことについて特別の理由があり、 かつ、重要事項の決定及び業務の監査を行う適切な機関を置いているもの
①~⑧以外の法人形態で監理団体になろうとする場合には、下記2つの事項を立証する必要があります(技能実習法施行規則第29条第1項第9号)。
(ア)監理事業を行うことについて特別の理由があること
過去3年以内に、以下の①または②を行った実績があり、当該実績を資料等により明確に示すことが要件となります。
- 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律上の「公益目的事業」に該当する業務
- 職業訓練、教育支援、我が国から外国への技能等の移転に関する業務等、人材育成の支援に関する業務
(イ)重要事項の決定及び業務の監査を行う適切な機関を置いていること
⑩ 法務大臣および厚生労働大臣が告示で定める特定の職種および作業に係る団体監理型技能実習を実習監理する場合における法第二十五条第一項第一号の主務省令で定める法人は、当該特定の職種及び作業に係る事業所管大臣が、法務大臣および厚生労働大臣と協議の上、当該職種及び作業に特有の事情に鑑みて告示で定める法人とする
技能実習法は、主務大臣が制度全体の適正化を図ることに加え、個別の職種分野について、当該職種に係る知見を有する事業所管省庁が一定の関与を行い、適正化を図ることができる制度となっています。
そのため、事業所管大臣が当該特定の職種及び作業に特有の事情を踏まえた告示を制定することが可能となっています。
留意事項
⑨ 上記①~⑧に掲げる法人以外の法人であって、監理事業を行うことについて特別の理由があり、かつ、重要事項の決定及び業務の監査を行う適切な機関を置いている法人として申請する場合
当該法人が監理事業を行いたいとする具体的理由・背景等のほか、過去3年以内に当該法人が公益認定法第2条の「公益目的事業」に該当する業務、又は職業訓練、教育支援、 我が国から外国への技能等の移転に関する業務等、人材育成の支援に関する業務を行った実績がある旨、具体的な資料により示す必要があります。(任意様式)
一般社団法人及び一般財団法人が申請を行う場合
一般社団法人及び一般財団法人については、上記①~⑧に掲げる法人類型に該当しないものの、内閣総理大臣又は都道府県知事に申請を行い、公益社団法人および公益財団法人の認定等に関する法律上の要件を満たせば、上記⑦の公益社団法人又は上記⑧の公益財団法人となることができます。
そのため、一般社団法人および一般財団法人が監理事業を行うとして、監理団体の許可申請を行うことを希望する場合、原則として、公益社団法人又は公益財団法人の認定を受けることが必要です。
以下の手順で手続を進めましょう。
① 一般社団法人又は一般財団法人として、外国人技能実習機構に監理団体の許可申請を行います(③の公益認定を受けるまでの間は審査は留保されます。)。
↓
② 外国人技能実習機構から交付を受けた監理団体の許可申請に係る申請受理票及び監理団体の許可申請書の写しとともに、公益社団法人および公益財団法人の認定等に関する法律に基づく公益認定の申請を行います(公益認定に通常要すべき標準的な期間は4か月とされていま す。)。
↓
③ 公益認定を受けた場合には、それを証する書類を外国人技能実習機構に提出することで、監理団体の許可申請に係る審査が再開されます。
↓
④ 公益社団法人又は公益財団法人として、監理団体の許可申請に係る許否が決定されます。
確認対象の書類
- 監理団体許可申請書(省令様式第 11 号)
- 監理事業計画書(省令様式第 12 号)
- 登記事項証明書
- 定款又は寄附行為の写し
- 監理団体の業務の運営に関する規程の写し
- 当該法人形態により監理事業を行う理由書(様式自由)
* 列挙された法人類型(規則第 29 条第1号から第8号まで)に該当しない場合 - 他の機関との間に締結された監査契約書の写し
* 列挙された法人類型(規則第 29 条第1号から第8号まで)に該当しない場合
まとめ
以上、長々と解説しましたが、簡単にまとめると、営利を目的としない法人で、かつ、上記表題①~⑩にあてはまる法人であることが要件です。
長文にお付き合い下さいまして、ありがとうございました。
今日のブログは以上です。
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